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松の木はお酒が大好き

松の元気の秘訣は、実は「日本酒」らしいと?

お酒は”百薬の長”というわけで、人はその歴史と共にお酒に親しんできました。
中国では大空の星の一つを、酒星と定めていて、李白は「天もお酒が好きなんだな」と詩に謳ったりしています。そんなわけで、お酒が好きなのは人間だけではないのでは。。。
なんと松の木が酒好きなんですね!枯れかかっていた松がとても元気になるそうです。

松葉を食べよう(高嶋雄三郎著)より

庭の松の木が枯れかかっている時、植木屋さんに相談したら
お酒をやって下さい」と言われたそう、あいにく日本酒を切らしていたので「ウイスキーではどうだ」と「やはりコクのある日本酒じゃなくちゃ駄目です。それに一緒にやるんだからスルメを買って下さい」と、植木屋さんは「スルメをやると細根がよく出るし、酒をやると勢いがつく」といったそうです。

松を植えるときに酒を飲ませるのは

寿を祝う意味と、肥やしになるからと、植えかえると松は寒がるので温かくしてやる意味もあるそうです。

柴又帝釈天「瑞龍松」(ずいりゅうまつ)

200年前の江戸時代の絵図にも記載があり、文献によると450年前にはある程度の大きさがあったとされています。現在の樹高約9m、幹周囲長約3m、樹齢は500年生とも言われています。名前のとおり龍の如く天に上昇する樹形をした松です。

瑞龍松の寒肥(かんごえ・かんぴ)お神酒上げ

寒肥は12月から2月の寒い時期に与える肥料のことです。この時期、植物の生長はほとんどありませんが、この時期の肥料は土の中で植物が吸収されやすい形に変わり、春の生長期に効き目を表す肥料となります。樹木にとっては特に大切な施肥となるものです。

根元に直接お酒がかからないよう
幹から数メートル離したところに円形状に溝が掘られて、そこに日本酒を流し込むようになっています。瑞龍松のまわりにはまんべんなく、たっぷりの日本酒がいきわたりました。
たくさんあった日本酒の一升瓶(110本あったとか)はどんどん空に。ほろ酔いってレベルじゃないでしょこれ。この豪快な行事!!

長い年月を今日まで生き続けられているのは、
こうして愛情こめて見守ってくれる人たちがいるからなんでしょうね。毎年行われているようです。

詳細は▶︎こちら

彦根城の名物「いろは松」の松並木

彦根駅から彦根城に入るとき、お堀沿いに多くの松が植えられています。
昔、ここは「松の下」と呼ばれていましたが、松の木が47本あった事から“いろはにほへと…”の仮名手本47文字になぞらえて『いろは松』と呼ばれるようになりました。樹齢250年以上です。彦根城は防衛上の作戦で築城前から育っている樹木を最大限に利用して城内が敵から見えないようにしていたのですが、それと同時に城を囲まれた時に使える様に資材・薬・食糧になる植物を移植したのです。いろは松はそんな移植された植物の1つでした。いろは松には土佐松という種類の松が使われています。これは根が地上にはり出さない事から人や馬の往来の妨げにならないので、わざわざ土佐(高知県)から取り寄せて植えられたものなのです。

ところが、せっかく移植した土佐松ですが、枯れる松が多かったために、その時の家老が、松の木の1本ずつに藩士の名札をつけ、それぞれに自分の木の世話を命じたのです。責任を背負わされた藩士たちの努力で松はよく育ったといわれています。今は土佐松以外の松も植えられていますが、数は34本にまで減っているそうです。
『彦根かるた』には 「いろは松 土佐の産湯を あびてくる」とあります。

酒粕で樹勢が回復

松並木がやがては姿を消しかねないと心配した地元酒造メーカー4社が、酒粕を与えたところ樹勢が回復、別に酔ったわけではなく、若返ったのです。酒粕の中に含まれるアルコール分が根を温める役目を果たしたといわれています。以来、毎年冬に行われていて、ドラム缶5本分1000Lもの酒カス汁が根本にたっぷりかけられる。

これは、酒粕に含まれる糖分が松と共生関係にある菌根菌を活性させるためではないかと思います。
松の木のような菌根性樹木は菌根菌と相互に利益を与えあう相利共生の関係にあります。樹木が光合成で得たエネルギーを糖分として菌に渡し、菌根菌は土壌中に広がる菌糸で集めた肥料分や水分を樹木に渡します。
また菌根菌は根の表面を菌糸で覆って根の防御機能を活性化させることにより、土壌中の病原菌から保護する働きをしています。それで元気になるようです。