「野にも山にも炭を撒く」炭の力で緑の地球に 宮下正次著
「”松寿千年”と長生きすることを松の齢(よわい)と言う。」松葉健康法(高嶋雄三郎著) |
千年も生きる松が松枯れに苦しんでいる。そして枯れは、今や針葉樹から 広葉樹まで広がる。
森林の会の宮下正次さんは、土壌を調査し針葉樹も広葉樹もマツノザイセンチュウやカシノナガキクイムシムが原因で枯れるのではないとして炭で土壌を中和して森を再生されました。
野にも山にも炭を撒く 炭の力で緑の地球に 森林の会 宮下正次著
まえがき
雪国地帯でナラをはじめとしてサクラ、クリ、ブナなどの広葉樹が枯れはじめました。広葉樹を失うと、この後には森が残りません。広葉樹枯れは、針葉樹枯れに続くものです。ナラ枯れの山に入るとナラを枯らすという虫は見つかりません。原因は何なのか考えてみると、土壌の酸性化が考えられます。
松もマツノザイセンチュウが枯らすとされ、農薬の散布を行ってきましたが、その効果はなく、多くの松を失ってきました。しかし私たちが強酸性土壌の松林に炭を撒くと松は見事に甦りました。ナラにも同様、炭を撒いてみました。すでに虫が侵入し枯れそうなナラが、翌年には元気を取り戻し3年目にはドングリがどっさりとなりました。
思わず「熊さんドングリがなったよ!!」と叫びました。(本文より抜粋)
森は泣いている
高度成長時代から30年以上にわたって各地で農薬散布が行われ、それに要したお金が1兆円にものぼります。その結果、効果があったかどうか、国の行政評価が行われました。その結果、効果無しの”C”評価が下りました。 日本の松茸も消えそうです。。。松茸菌は元気な松に共生する菌です。 松茸の収穫量は、戦前は、1万2千トン、戦争が終わると6千トン、高度成長時代に入ると2千トンに激減。現在は20トン足らずです。松茸菌は大気汚染に敏感です。土壌が汚れて松茸が消えていきました。 松枯れの後に続くのがナラ枯れです。ナラ枯れの後には森がない。この森を失ってしまったら文明を閉じることにります。(本文より抜粋) |
枯れ原因は、化石燃料を燃やした結果の酸性雨が、雨、雪、霧、風を媒体として土中に入りこみ、中和力を失った土壌のミネラルが以前の1/3に減ってしまったこと、強酸性土壌で土壌微生物が生きられなくなったこと、根粒菌と共生する細根が弱り水分・養分の吸収が困難になったことを指摘されております。 |
<目 次>
第1章 森は泣いている
・松枯れ対策の農薬散布は”C”評価
・ひどい佐渡のナラ枯れ
・枯れたナラ林にカシナガが見つからない
・20年前から成長が悪くなった
・17年前から幹から芽を吹き出す
・枯れるのはナラだけではない
・すぐには虫が入らない
第2章 よみがえった森
・佐渡のナラ林に炭を撒く
・ナラ林に菌根が発生
・佐渡のナラ林にドングリがどっさりなった
・桐生市吾妻山のモンゴリナラ
・モンゴリナラかフモトミズナラか
・モンゴリナラに炭を撒く
・モンゴリナラに大きな実がなった
・新潟県津南町のミズナラに炭を撒く
・2年後に菌根が発達
第3章 森を科学する
・ミネラルを失った大地
・熊は必死で餌を求める
・ミネラル不足を知ってる熊
・リン酸を失えば実が作れない
・タンニン・リグニンが作れなくて虫の餌食に
・日本で初めて酸性雨被害の告発
・天然記念物の杉並木が枯れる
・立ち枯れの実態をつかむ、と決意
・研究所の職員を分限免職
・雪国地帯は死の地帯
・石灰を使ったスウェーデンの中和対策
・山も人も薬で殺される
・新潟県三川村のクリ・コナラ枯れ
・新潟県糸魚川のコナラ枯れ
・長野県中野市のクリ・コナラ枯れ
・福島県会津若松市飯盛山のコナラ・ミズナラ・ヤマザクラ枯れ
・山形県朝日町のミズナラ枯れ
・新潟県十日町市松之山大厳寺高原のミズナラ枯れ
・新潟佐渡市のブナ枯れ
第4章 ヨーロッパの森たち
第5章 南極圏のブナたち
第6章 炭の底力
・水源の森に炭を撒く
・枯れ始めた足尾の松に炭を撒く
・鹿は炭が大好き
・敷島公園の松林に炭を撒く
・炭で蘇った敷島公園の松林
・会津の国有林を借りうけて
・国有林のナラ山に炭を撒く
・新潟県十日町松之山のミズナラに炭を撒く
・新潟県佐渡市のナラ山に炭をヘリ散布
・ブータン国王に炭撒きを提言
・ナラ枯れ対策に立ち上がった林野庁
・炭はいつ撒くのか
・炭はどれくらい撒くのか
・炭はどこに撒くのか
・だから炭焼きはやめられない
・桐生川の森と清流を守る
・間伐材で炭を焼く
・村おこし・人造り
・炭は身体のお掃除屋さん
・見直される炭の力
・食べる炭の作り方・食べ方
炭撒き年表