松ぼっくり

松ぼっくりは、松が次の世代へ種子をつなぐためにつくる「球果(きゅうか)」です。

春に見られる雌花が、すぐ茶色い松ぼっくりになるわけではありません。アカマツやクロマツでは、受粉したあと翌年の秋ごろまで時間をかけて成熟します。このページでは、松ぼっくりができるまで、中にある種子、開いたり閉じたりする仕組み、観察や暮らしでの楽しみ方をまとめます。

松ぼっくりとは?

植物学では、松ぼっくりは球果と呼ばれます。マツは裸子植物で、一般的な果物のように子房が育ってできる「果実」とは仕組みが異なります。

松ぼっくりを覆う鱗のような部分は種鱗(しゅりん)。その内側に種子がつくられます。アカマツやクロマツでは、成熟後に種鱗が開き、翼のある軽い種子が風に乗って散っていきます。

松の枝についた成長途中の緑色の松ぼっくり
枝で育つ、まだ緑色の若い松ぼっくり

松ぼっくりができるまで

STEP 1 春新しい枝に雄花と雌花が現れます。
STEP 2 受粉風で運ばれた花粉が雌花に届きます。
STEP 3 1年目小さな若い球果として少しずつ育ちます。
STEP 4 2年目球果が大きくなり、秋ごろ成熟します。
STEP 5 種子散布乾いた条件で種鱗が開き、種子が風へ放たれます。

アカマツでは球果が2年目の秋に成熟し、クロマツでも前年に受粉した球果が翌年10月ごろに成熟するとされています。種類や生育環境によって時期や形には幅があります。

春の松の枝先に見られる球花
春の松。枝先では次の世代につながる変化が始まります
成長途中の若い松ぼっくり
成長途中の若い球果

松ぼっくりの成長を詳しく見る →

なぜ開いたり閉じたりするの?

乾いた松ぼっくりは種鱗が開きやすく、湿ると閉じやすくなります。北海道大学CoSTEPでも、水に浸した松ぼっくりが閉じ、再び乾燥すると開く観察例が紹介されています。種子を風で散らすマツにとって、乾いた条件で開くことは種子散布に適した仕組みだと考えられています。

身近な観察
乾いた松ぼっくりの形を見てから水で濡らし、時間をおいて変化を観察してみましょう。その後よく乾かすと、再び開いていく様子を観察できます。
松の枝についた若い球果の集まり
若い球果を近くから観察すると、形の変化がよく分かります
松の枝先で育つ球花と若い球果
枝先で育つ松の球花・若い球果

松ぼっくりの中には何がある?

成熟する前の球果では、種鱗の内側に種子が育ちます。アカマツやクロマツの種子には薄い翼があり、成熟した球果が開くと風に乗って散布されます。地面で拾う松ぼっくりは、すでに種子を飛ばした後で、中に種子が残っていないこともあります。

松ぼっくりを楽しむ

観察する

種類や季節によって、形、大きさ、色、種鱗の開き方が違います。散歩で見つけた松ぼっくりを比べてみるだけでも立派な自然観察になります。

季節の飾りに

乾いた松ぼっくりは、リースや卓上飾りなど自然素材のクラフトに使えます。拾ったものは汚れや虫などを確認してから利用しましょう。

工作を楽しむ

木の実や枝などと組み合わせて、子どもと一緒に季節の工作を楽しむ素材にもなります。

種を探してみる

種鱗の間に翼のある種子が残っているか、形を崩さない範囲で観察してみましょう。

過去の「松ぼっくりの利用のあれこれ」を見る →

アカマツとクロマツの松ぼっくり

アカマツ

球果は卵形を基本とし、受粉した翌年、2年目の秋に成熟します。種鱗の間に翼のある種子をつくり、晴れて乾いた条件で開いて種子を散らします。

クロマツ

球果は卵形〜円錐状の姿を見せ、前年に受粉したものが翌年10月ごろに成熟します。種子には翼があり、成熟後に種鱗が開きます。

※球果の大きさ・形・成熟時期には個体差や生育環境による幅があります。

よくある質問

Q. 松ぼっくりは「松の実」ですか?

A. 日常的には「実」のように見えますが、植物学では球果と呼びます。マツは裸子植物なので、被子植物の果実とは異なる構造です。

Q. 松ぼっくりができるまで何年かかりますか?

A. アカマツやクロマツでは、春の受粉から翌年秋ごろの成熟まで、およそ1年半〜2年ほどかけて育ちます。

Q. なぜ開いたり閉じたりするのですか?

A. 種鱗が湿度に応じて動くためです。乾燥した条件では開きやすく、種子を散らすのに適した状態になります。

Q. 中に種はありますか?

A. 成熟前には種鱗の内側に種子があります。成熟して種子を散らした後の松ぼっくりでは、残っていないこともあります。

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参考資料