JAPAN PINE ENCYCLOPEDIA · 05 · FIVE-NEEDLE PINE
チョウセンゴヨウ
Pinus koraiensis Siebold & Zucc.
大きな球果と食用になる種子をつける五葉松。東アジアに広く分布し、日本の松の実の歴史を考えるうえでも重要な樹種です。
HERO写真:Dalgial / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0、HERO内で表示範囲を調整)

見分ける3つの鍵
① 葉は5本ずつ。 五葉松の仲間。葉は比較的長く、枝先にまとまります。
② 大きな球果。 種子は翼がごく小さく、食用の「松の実」として利用されることで知られます。
③ 北東アジアの松。 Kewはロシア極東から朝鮮半島、日本までを自然分布域として記録しています。
マツ科・マツ属
常緑高木
5本束生
ロシア極東〜朝鮮半島・日本
IUCN: LC
種を食べる松
マツ属のなかには大きな種子を食用にする種があります。チョウセンゴヨウはその代表例のひとつです。PINE WORLDでは、過去の日本における分布と利用、遺跡資料、各地の現存木を引き続き史料と現地調査の両面から追っています。
BOTANICAL FIELD GUIDE / 詳しく知る
チョウセンゴヨウを深く知る
形の特徴だけでなく、生育地、自然のつながり、日本の暮らしとの関係を読み解きます。
大型の球果が実る五葉松
チョウセンゴヨウ(Pinus koraiensis)は五本ずつまとまった針葉をつける常緑高木です。日本の他の五葉松と比べても大きな球果をつけることがあり、その中には食用になる比較的大きな種子が入っています。一般に「松ぼっくり」と呼ばれるものは球果で、種子そのものとは別です。食べる松の実と、風で飛ぶ小さな種子を持つ松との違いを意識すると、同じマツ属に多様な繁殖戦略があることが分かります。
日本の山地と東アジアの森
日本では限られた山地に自生し、国外では朝鮮半島、中国東北部、ロシア極東などにも分布します。冷涼な森林環境を好み、山地の樹木とともに森を構成します。分布が広いことと、日本国内で簡単に見られることは同じではありません。国内の自生地、植栽された樹木、外国産の松の実が流通する地域を混同しないことが、植物学にも食文化史にも大切です。
動物がつなぐ種子の旅
大きな種子は木から落ちるだけでなく、鳥類や哺乳類に運ばれたり貯蔵されたりすることで散布されます。動物に食べられる種子の一部は、持ち去られて別の場所で発芽する可能性があります。つまりチョウセンゴヨウの林は、樹木だけで完結していません。球果の季節を追い、そこを訪れる生き物を観察すると、種子と森の更新をつなぐ関係が見えてきます。
松の実と人類の食文化
チョウセンゴヨウの種子は、東アジアの松の実利用史を考えるうえで重要です。食用になるのは硬い殻の内側の種子の部分で、採取、乾燥、殻割りなどの工程を必要とします。松の実にはさまざまな樹種由来のものがあり、商品名だけでチョウセンゴヨウ由来と断定できるとは限りません。PINE WORLDでは、植物の分布と人間の食べ方を結びつけながら、原典資料と現在の食文化を紹介していきます。
何を見比べ、何を守るか
針葉が五本ずつか、球果は大きいか、種子の形はどうか。図鑑の実物写真をもとに少しずつ見比べてみましょう。森林の維持には、成木の保全だけでなく、種子を運ぶ動物や発芽に必要な立地も重要です。自生地の詳しい場所や希少な個体の情報を公開するときには、保護に配慮した扱いが求められます。
